アコギ・ファン |
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ここはアコースティック・ギター・マニアのためのコーナーです。専門用語が多用されます。
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| No.1 楽器との巡り逢い |
| No.2 タカミネPT206 |
| No.3 マイケル・ヘッジス |
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楽器との巡り逢い |

▲SヤイリYD-302
1974年製
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ギターの録音は本当に難しいなとつくづく思うこの頃です。顔も知らない方々からのネットでの親切なアドバイスには感謝しています。アコースティック・ギター・ファンの飽くなき情熱には感服しています。
20年以上前ですが私はレコード(CDではない)を制作しました。ヨーイ・ドンで始めたスタジオでの録音は、けっして満足のいくものではなかった。とにかくお金が有りませんでした。
四畳のアパートの一室で小さなガス・ストーブの前で足だけ暖めながら練習していたギターは十代の頃に買ったカワセ楽器のビリー(4万5千円)。部屋が乾燥し過ぎたためか表面板が大きい音をたてて割れ、ブリッジが弦に引っ張られ持ち上りチューニングが合わなくなる。可愛そうに想った友人が貸してくれたのがヤイリのYD-302。このギターを私は5千時間以上は弾き込みました。
ライブ・ハウスに出始めると、気になるのがPA。確かに弾いたはずの音が異質なものとして鳴っている。クレームを付けると、「東京中のライブから干してやる」と経営者から言われたこともありました。ライブの場合、PAシステムは元よりミキシング・オペレーターとの相性の重要性を感じました。
そこで、手元でイコライジング出来るエレ・アコを購入しました。タカミネのPT206、84年製。エレ・アコの場合、ハウリングの心配が軽減されるのでライブでは大変お世話になりました。
当時、私の所有ギターは先のヤイリとこのタカミネの2台でした。レコードを作るにあたって、友人から借りたマーチンとオベーションで録音しましたが、これが良かったのか悪かったのか?悔いを残す結果になりました。
この時作られたレコードは現在ネット・オークションでは6千円以上で売買されていると聞きますが、私としては再販する気は全くありません。
楽器との出会いは人との巡り逢いと同じだと思うことがあります。大げさに言えば、人生を左右しかねない。
今でこそ、海外ブランドのギターを数台持っていますが、自分にとって最も相性が合うギターは、苦楽を伴にしたヤイリのYD-302とタカミネのPT206なのでしょう。残念ながらタカミネの84年製PT206は壊れてしまって手元にありません。どなたか譲って頂けないでしょうか。 |
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タカミネPT206 |
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▲81年製 |
▲83年製 |
▲88年製 |
▲2007年製PTU208 |
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タカミネのPT206は当時、定価6万円を4万代の後半で買った記憶があります。お茶の水の全楽器店を周り、これと思う物に決めました。
「84年製と同じ音色の楽器はないのか」タカミネ本社に電話で問い合わせましたが、「プリアンプを規格変更しているために、同じものは無い。もし、当時の出物があっても音が鳴らないのでは?」との返事。
現在は81年製、83年製、88年製を持っています。3台共ネットで手に入れました。年度によりプリアンプの仕様も違い、音色もマチマチ。中古楽器のサガから調整が不備であったり、前所有者の癖が強く残って(それはそれで、また楽しい)いたりと、どうしても以前のものとイメージがズレる。同じ型番でも楽器はそれぞれ個性を持つものなので無理な願いなのかもしれない。
タカミネPT206シリーズは92年モデルまでは手作りということでヘッドの形が皆違います。81年製に内蔵のプリアンプはパラメトリック・イコライザーが一つだけ装備されているという変わり者です。シャリンとした高音が特徴的で面白いのですが、私としては低音にビート感があればと切りの無い想いを馳せてしまいます。しかし、人も楽器も出会いから始まることもあるのでしょう。
現在、タカミネPT206は生産されていません。バージョン・アップされたPTU208シリーズが搭載するプリアンプは使い勝手の良いチューニング・メーターが装備され、ライブ演奏等では最強の相棒になるでしょう。私も1台持っています。デジタル基板の特性として一音一音は実にクリアーに再生されます。素晴らしい。しかし、これは単に私の好みの問題ですが、やはり昔の友達には愛着を感じます。 |
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1980年に「タッピング・テクニック」という独自のギター奏法を編み出し、ウインダム・ヒル・レーベルから鮮烈にデビューしたマイケル・ヘッジス。彼がその後のアコースティック・ギターの歴史に与えた影響は計り知れません。
それまでアコースティック・ギターは手軽な歌の伴奏楽器として注目を集めるものでした。PPM、ボブ・ディラン、ジョーン・バエズ等のアメリカのフォーク・ソングの影響を受け、日本でもフォーク、ニューミュージックの歌手がギターを抱え活躍します。インストルメンタル曲がスポットを浴びることは殆ど無かったと云えます。そのレコード作品にインストルメンタル曲も上梓するイギリスのギタリスト、「ペンタングル」のバート・ヤンシュ、ジョン・レンバーンが日本で紹介されるのは1970年代に入ってからですし、アメリカの12弦ギターのテクニシャン、レオ・コッキーは未だに日本版は出版されていません。
私が、「現代ギター」というクラシック・ギターの雑誌にマイケル・ヘッジスのギター奏法を紹介したのは1985年でした。今日では彼の奏法の影響を受けたギタリストが日本にも多くいるのではないでしょうか。
彼にはそれまでのギター音楽の流れを大きく変革する2つの要素があります。
一つは、今更説明するまでもないことだと思いますが、両手の指で弦を弾くという、それまでのギター奏法の常識を覆すテクニックを編み出しギター・ミュージックの新たな可能性を開拓したこと。同じ頃、ジャズ・ギターの世界でも両手の指で弦を奏でたスタンリー・ジョーダンがブルーノート・レーベルの系譜に連なるミュージシャンとして評価されています。
もう一つは、これはウインダム・ヒル・レーベルの特徴と云えますが、録音された音の美しさ。当時、私は彼の音を「ハイパー・ネイチャー・自然よりももっと自然らしい」(現代ギター誌)と評しました。それは単に綺麗な音ということでは言い表せない。
彼の音は、それまでのギター・ミュージックとは「録音のフォーカス」が違うように感じました。スピーカーから鳴る音からギターを持つミュージシャンの姿が見えてくるというフレーム・ワークではなく、6本の弦の振幅の様子をアップで映し出すようなフォーカスです。
彼により、その後のギター・ミュージックの録音方法は大きく変わっていくように思いました。マイケル・ヘッジスのファースト・アルバムはAKG452EB(現在は入手不可)を2本で録音されたと聞きますが、それ以後の録音は他機種のマイクをブレンドさせるなど進化していきます。
近年では日本でもダイナミック、コンデンサー、ピエゾ、マグネティック・マイクを組み合わせて使用するギタリストも多く。音のバリエーションは多様にコントロール出来ます。それ故、自分のスタイルを確立するのが反って難しくなっているような気もします。
これはブルースやジャズの世界で云われ続けていたことですが、本場の音楽家とその影響を受けた日本人とは、体に備わるリズム感が違うためにオリジナルに対するコピーという立場に甘んじさせられてきました。「ソウルが違う」とオリジナルのミュージシャンは言います。
マイケル・ヘッジスの技術を受け継ぐ日本のギタリストの世界への展開を見守りたいと思います。と、同時に日本人ならではのギター・スタイルも提示されてもいいのではないかと思っています。
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